Yahoo!ジオシティーズとYahoo!ブログ終了で何が失われた?Web上の知識・個人サイト消失の影響を解説

ブログサービス

インターネットには、企業や行政、専門家が公開する情報だけでなく、一般の利用者が長年かけて蓄積してきた膨大な知識があります。古いパソコンの設定方法、家電の修理記録、地域史、旅行記、趣味の研究、ゲーム攻略、創作物など、検索すると個人サイトやブログに助けられた経験がある人も多いでしょう。

日本のWeb史を振り返るうえで大きな出来事の一つが、2019年のYahoo!ジオシティーズとYahoo!ブログのサービス終了です。Yahoo!ジオシティーズは2019年3月31日に終了し、Yahoo!ブログも同年12月15日に終了しました。終了日は同時ではありませんが、同じ2019年に長期間運営されていた二つの大規模サービスが相次いで姿を消したことになります。

では、この出来事はWeb上の知識の蓄積にどの程度の影響を与えたのでしょうか。単純に「古いサイトが消えただけ」と考えると、インターネットにおける個人コンテンツの価値を見落としてしまいます。

Yahoo!ジオシティーズとYahoo!ブログは2019年に相次いで終了した

Yahoo!ジオシティーズは、個人がWebサイトを公開できるホームページサービスとして長期間利用されていました。日本ではインターネット黎明期から利用していたユーザーも多く、HTMLで作られた個人ホームページが大量に存在していました。

Yahoo!ジオシティーズは2019年3月31日にサービス提供を終了しました。サービス終了時には他サービスへの移行方法も案内されましたが、当然ながらすべてのWebサイトの管理者が移転作業を行ったわけではありません。

一方、Yahoo!ブログは2005年にスタートしたブログサービスで、こちらも2019年12月15日にサービスを終了しました。Yahoo!ブログについても他社ブログへの移行手段が用意されましたが、移行されない情報もあり、元のサービスを完全な形で保存できる仕組みではありませんでした。

つまり2019年には、ホームページ文化を代表するサービスとブログ文化を代表するサービスの双方で、大量の公開コンテンツがWeb上から失われる可能性が生じたことになります。

Web上の知識の蓄積には確かに大きな影響があった

Yahoo!ジオシティーズやYahoo!ブログの終了がWeb上の知識に与えた影響は、決して小さいとはいえません。特に重要なのは、そこに保存されていた情報の中には別のWebサイトでは代替できない一次的な記録が多数含まれていたことです。

例えば、1990年代のパソコンについて、当時実際に所有していた人が作成した設定記録があったとします。現在のメーカーサイトでは製品ページや取扱説明書がすでに削除されていることもあります。そのような場合、当時の利用者が残した個人ホームページそのものが貴重な技術資料になります。

地域情報も同様です。「2002年当時の駅前にはどのような店があったか」「廃止された鉄道路線を実際に利用した人はどのように記録していたか」といった情報は、後から同じものを作ることができません。日記や旅行記のように見えるページでも、時間が経過すると歴史資料としての価値を持つ場合があります。

サービス終了当時にも、Yahoo!ジオシティーズに保存されていた貴重な資料が見られなくなったことを惜しむ声が報じられています。サービス運営側も終了告知の際、インターネット上に残された情報の蓄積が失われることへの残念な思いを示していました。

特に失われやすかったのは検索需要の少ない「ニッチな情報」

大手メディアの記事や有名な出来事については、一つのページが消えても別のWebサイトに同様の情報が残っている可能性があります。しかし、個人ホームページやブログの価値は、むしろ検索する人が少ないニッチな分野にありました。

例えば「20年前に発売された特定型番の周辺機器をWindows XPで動作させる方法」のような情報です。必要とする人は非常に少ないため、企業メディアが新たに記事を作成する経済的なメリットはほとんどありません。それでも、その機器を使っていた個人が自分のホームページに設定方法を残していることがあります。

ほかにも、古いオーディオ機器の修理、アマチュア無線、電子工作、鉄道、天体観測、園芸、郷土史、古いゲーム、模型など、個人の経験そのものが資料になる分野は数多くあります。

検索回数が少ない情報ほど商業サイトでは再作成されにくいため、一度失われると復元されにくいという点が重要です。

「記事が移行できる」ことと「Web文化が保存される」ことは同じではない

サービス終了時に移行ツールが提供されれば、問題がすべて解決するようにも見えます。しかし、データ移行とWebサイトの完全保存は別の問題です。

Yahoo!ブログでは他社サービスへの移行手段が提供されましたが、記事や画像だけでなく、コメント、トラックバック、ブログ独自のデザインなども含めて完全に同じ状態を再現できるわけではありませんでした。ブログ本文だけ保存できても、読者とのやり取りが失われれば、そのページが持っていた情報量は減ってしまいます。

例えば、ある家電の修理記事の本文に「この部品を交換したら直った」と書かれており、そのコメント欄に別の利用者が「別型番ではこの部品だった」と補足していたとします。本文だけ移行されてコメントが失われれば、後者の情報はWebから消えてしまいます。

また、そもそも移行作業をしなかったサイトもあります。10年以上前に更新を停止したホームページでは、管理者がサービス終了を知らなかったり、登録メールアドレスを使わなくなっていたり、すでにWebサイトへの関心を失っていたりするケースも考えられます。

リンク切れによって周辺サイトの価値まで低下する

Webページが消える影響は、そのページだけにとどまりません。Webはページ同士をハイパーリンクで接続することで成り立っているためです。

例えば、個人ブログの記事に「詳しい回路図はこちら」と書かれ、Yahoo!ジオシティーズ上の別サイトへリンクされていたとします。リンク先が消えると、ブログの記事自体は残っていても重要な参考資料を確認できなくなります。

さらに検索エンジンから見つけた古い記事を開き、そこから関連ページを次々とたどって情報を調べるという使い方も難しくなります。このため、大規模なホスティングサービスの終了は一つひとつのページの消失だけではなく、Webを構成するリンクのネットワークにも影響すると考えることができます。

一方ですべての情報が完全消滅したわけではない

ただし、Yahoo!ジオシティーズやYahoo!ブログの終了によって、掲載されていた情報がすべて永久に失われたと考えるのも正確ではありません。

管理者自身が別サービスへ移転したケースがありますし、同じ内容を別のホームページやブログへ転載しているケースもあります。また、Internet ArchiveのWayback Machineをはじめ、過去のWebページを保存するWebアーカイブに記録されているページもあります。

検索結果から消えてしまった古いページを調査するときは、元ページのURLが分かればWebアーカイブで検索する方法があります。ただし、すべてのページや画像、プログラムなどが保存されているとは限らず、アーカイブだけで完全に復元できるわけではありません。

そのため、Webアーカイブは非常に重要な存在ではあるものの、元サービスが稼働している状態と同等とは考えないほうがよいでしょう。

なぜ個人サイトの情報は今になって価値が高まることがあるのか

Web情報には「公開された当時より、10年後や20年後のほうが価値が高くなる」という特徴があります。これは書籍や新聞などの資料にも共通しています。

例えば2001年に「新しいデジタルカメラを買いました」と個人が書いた記事は、当時なら単なる購入日記です。しかし25年後には、発売当時の使用感、価格、撮影例、利用環境などを確認できる資料になります。

特に個人サイトには、企業の公式資料では記録されにくい「実際に使った人の経験」が残っています。製品が壊れたときの症状、メーカーへの問い合わせ結果、自力で修理した記録などは、その時代の利用者でなければ残せない情報です。

この意味では、個人ホームページやブログは単なる娯楽コンテンツではなく、無数の個人によって作られた巨大な生活史・技術史のデータベースとして見ることもできます。

現在のSNSにも同じ「情報消失」の問題がある

この問題はYahoo!ジオシティーズやYahoo!ブログだけの話ではありません。現在利用されているブログ、SNS、動画共有サービス、オンラインコミュニティなどでも、運営会社がサービスを終了すれば同じ問題が起こる可能性があります。

クラウド型サービスでは、利用者が投稿したコンテンツを公開できていても、そのサービス自体を利用し続けられる保証が永久に存在するわけではありません。運営会社の事業方針変更、利用者減少、システム維持費、仕様変更など、さまざまな理由でサービスは終了します。

特に長期間残したい研究記録、技術資料、作品、写真などを公開する場合は、公開先だけを保存場所にしないことが重要です。元データを自分のパソコンや外部ストレージなどにも保存しておけば、サービス終了後に別の場所へ移すことができます。

まとめ:2019年のサービス終了はWebの知識保存を考える象徴的な出来事

Yahoo!ジオシティーズは2019年3月31日、Yahoo!ブログは2019年12月15日に終了しました。同時終了ではないものの、同じ2019年に二つの長寿サービスが相次いで終了したことは、日本のWeb史において大きな出来事だったといえます。

特に影響が大きかったのは、古い機器の情報、趣味の研究、地域史、旅行記、個人的な体験談など、ほかでは代替しにくい情報です。移行されたページやWebアーカイブに残ったページもありますが、移行されなかったコンテンツやコメント、画像、リンク関係など、失われたものも少なくありません。

Web上に公開されていることと、その情報が永久に保存されることは同じではありません。Yahoo!ジオシティーズとYahoo!ブログの終了は、その事実を分かりやすく示した事例でもあります。

現在残っている個人サイトやブログも、何十年後には当時の生活や技術、文化を知るための貴重な資料になる可能性があります。Webの知識を未来へ残すためには、サービス運営者による移行支援だけでなく、投稿者自身によるバックアップやWebアーカイブなど、複数の方法で情報を保存していくことが重要です。

ツイッターのフォローはこちらから出来ます!

コメント

タイトルとURLをコピーしました